図書館のような書棚に大量に収納された場所では、図書を効率的に発見する手法が求められています。図書にICタグを付加することで位置情報を管理する手法も存在していますが、その配置管理に問題があると考えられます。
また近年、スマートフォンやタブレット端末が普及し、それらの端末を用いた拡張現実技術に注目が集まって、拡張現実による直感的な情報の提示は図書検索支援に有用であると考えられます。そこで本研究では図書の背表紙画像を用いて位置を特定し、拡張現実を用いて情報を提示することで図書検索の支援を行うことを目的といたしました。
書棚の四隅にマーカーを取り付け、それに対向するように監視クライアントを配置します それぞれの監視クライアントに接続されたカメラは、対向する書棚を撮影します そして、利用者は携帯端末のカメラを用いて、室内の書棚を撮影します 監視クライアントと携帯端末はメインサーバとネットワークでつながれ、データベースを介して図書の位置情報をやり取りします。また、データベースには図書のISBN、背表紙画像のデータ、図書の位置情報を格納します。
監視クライアントでは図書の位置特定処理を行います。まずマーカーの位置座標と上下左右に付いた突起の向きを検出し、その組み合わせによって書棚を識別します。次に複数の図書に対する位置特定を実現するために、書棚の段数と収納された図書の向きに応じて書棚を撮影した画像の領域を分割します。最後に背表紙画像と書棚画像の画像特徴を抽出し、多次元ベクトルで表される特徴量の近傍探索を行うことによって特徴点のマッチングを行います。また携帯端末では図書検索を支援するための情報提示処理を行います。
図書の一覧から見つけ出したい図書を選択すると、矢印オブジェクトによってその位置が提示されます。
書棚が映し出された画面をタッチすると、その周辺に存在する図書が選択され情報を取得することができます。